チリ下院議員選挙(定数155)が、2021年11月22日に投開票しました。結果は、①中道左派や中道保守の議席減、②左派政党の社会収束党や保守政党の国民党や共和党の拡大進出、③民主主義革命、人権党、緑エコロジー党、緑社会連合の市民型政党の進出が特徴です。
保守連合は、国民革新党(Renovación Nacional)33→21、独立民主連合(Unión Democrata Independiente)26→21、政治的進化(Evolución Política)6→2の合計60→44に減少です。左派連合は、チリ社会党(Partido Socialista de Chile)17→12、民主主義のための党(Partido por la Democracia)7→3、急進党(Partido Radical de Chile)4→2、チリ共産党(Partido Comunista de Chile)9→12の37→29の減少です。
キリスト教民主党(Partido Demócrata Cristiano de Chile)12→7、拡大戦線は、民主主義革命(Revolución Democrática)6→6、人権党(Partido Humanista)1→1、緑エコロジー党(Partido Ecologista Verde)1→2、緑社会連合(Federación Regionalista Verde Social)3→2の11→11です。
その他は、自由党(Partido Liberal de Chile)2→3、社会収束党(Partido Convergencia Social)4→4、コモンズ党(Partido Comunes)2→3、独立地域党(Partido Regionalista Independiente)0→1、キリスト保守党0→1、国民党(Partido de la Gente)0→6、共和党2→11、無所属(Independientes)20→35です。
左派政党の社会収束党や保守政党の国民党や共和党が、チリ政界の中道保守や中道左派の間の政権交代の歴史が保守本流及び左翼本流の政権交代に変わっています。
ラテンアメリカの政治は、①アメリカを通したニューコートの経済と軍産複合体支配の拠点、②石油や鉄、銅、硝石の資源のドル建てによる輸出、③ニューコートを通した買収による賄賂政治、④教育や犯罪、医療施策の貧弱と非常事態になっています。
チリが新型コロナウイルステロのによる非常事態に陥る寸前になろうとしました。しかし、アルゼンチンやブラジル、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、ニカラグアのような債務超過やテロ、インフレと失政が及ぶ影響に受けられないようにアメリカに頼らず、AIIBやBriCS、一路一帯、ラテンアメリカ経済同盟と言ったパイプを持って経済戦争や軍事紛争の魔の手に警戒しなければならない。
新しくチリ大統領に就任したガブリエル ポリッチの選挙公約は、①高所得者への課税強化や②チリの金銀銅の大規模鉱山の利得に対する課税強化、③最低賃金の底上げ、④チリのさらなる教育条件の引き上げ、⑤健康保険のシステムの簡素化、⑥新型コロナウイルスの感染防止、⑦環境税の課税強化、⑧年金制度の改善です。
日本は、TPP(環太平洋経済連携協定)に加盟しています。しかしチリがTPP加盟に慎重です。日本とチリは、2007年に経済連携協定(EPA)を結んでいます。
日本のチリへの輸出は、自動車や電子機器、機械、緑茶、柿、日本酒、長芋などです。一方、チリの日本への輸出は、銅やモリブデン、マス、銀鮭、ワイン、牛肉、豚肉、鶏肉、ウッドチップです。チリとの貿易は、中国や韓国、台湾に次ぐ重要なパートナーです。
ポリッチチリ大統領が、1月24日に24人の閣僚を明らかにしました。チリ共産党や民主主義革命、社会収束党を中心にした左派連合から12人、チリ社会党や急進党を含む中道左派連合から5人、無所属7人です。女性閣僚が24人中14人です。
ポリッチ大統領出身の社会収束党から5人入閣です。チリ共産党からカミラホジェが内閣官房長官に就任しました。
社会収束党と言う新しい急進左翼政党のリーダーのポリッチがチリ大統領の就任は、ビノチェト将軍時代の憲法改定の一歩、教育政策が貧困層に向き、アメリカの鉱山支配をやめさせることに期待できます。