九条の会・おおさかの講演会が、4月1日に大阪市内のグランキューブ大阪の大会議室で開かれました。九条の会おおさかは、職場や地域、階層、分野別などの会が400近くも組織されています。この会は、全国でもトップクラスと言われています。
九条の会おおさかは、2005年4月25日に新野新(放送作家)、津村明子(大阪府生活協同組合連合会会長)、宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)、森南海子(デザイナー、随筆家)、大谷昭宏(ジャーナリスト)、藤本義一(作家)、桂米朝(落語家)、小山仁示(関西大学名誉教授)、直木孝次郎(大阪市立大学名誉教授)など14人の文化人、芸能人などの呼びかけで結成されました。
この集会は、1周年記念行事として開催されました。今回の講演会は、それぞれの会が組織的に「動員」をかけたりや参加人数の割当などをせずに一般的な宣伝だけで、1500人あまりの人々の参加をしました。
講演会は、九条の会・おおさかの呼びかけ人のリレートークがおこなわれました。トークでは、マスコミや仏教、カトリックのそれぞれの立場から話されました。マスコミの会の呼びかけ人は、報道や放送でなかなか日本国憲法の改悪反対が表立ってできないなかで、九条の会を広げる重要性を訴えました。仏教やカトリックの会の呼びかけ人は、宗派や教派を超えた憲法9条の改悪を許さない対話を広げていくことを明らかにしました。
続いて、フリージャーナリストの大谷昭宏氏の基調講演がおこなわれました。演壇に立った大谷昭宏氏は、講演のなかで、現在おこなわれようとしている国民投票法の制定の動きや東京での政党員によるビラ(戦争反対や9条の改正に反対する内容)ビラをまいた政党の活動家が逮捕をされたことなどを例にあげて、憲法改悪の本質的なねらいを暴露し、憲法改悪の運動を広げていくことの重要性を参加者に訴えました。
私がこの講演会に参加して感じたことは、50歳代から70歳代までの戦争体験者や1960年の安保改定反対闘争、1970年の沖縄施政権返還闘争や大阪府での革新知事の大阪市立大学元教授の黒田了一を誕生させた経験を持った人々が講演会の中心になっていました。1980年代から21世紀世代の参加者がチラホラといった様子でした。
青年学生の一部では、日本国憲法を知らないことが多いことや右傾化をあおるブログやBBSが増えていることも最近の特徴です。これは、オリンピックやワールドカップにおいて「日の丸」を大きくとりあげられたことから右翼的な愛国心が助長されてきています。
護憲勢力の一部には、青年・学生層との結びつきの不足とあせりから、オリンピックやワールドカップでのサポーターやアスリートに不信感を抱いて、「反オリンピック」や「反ワールドカップ」の立場を鮮明にしすぎる傾向も少なくありません。こうしたことは、サポーターやアスリートからは、護憲勢力を「過激派」、「うっとうしい」、「きもい」(青年層の間で使われる気味が悪いのこと)と言った偏見を抱きはじめています。
私は、この講演会を通じて、中高年の年配層にだけ受けるような企画でなく、青年層や中堅世代にも受け入れられるような企画を組むことの必要性を感じました。例えば、今回の文化企画が「うたごえ運動」系の音楽が中心になっていましたが、アコースティックやジャズ、ヒップ・ホップ、ストリートミュージック、ダンスミュージックなど現代の音楽の変化のながれに応じた音楽や吉本興業による大衆文化でない上方文化(「大阪文化」の象徴の一つでもあるものを守る)のとりくみを含めた企画を取り入れることを考えてみてはどうかと思いました。
革新と称する政党や市民団体が自己の勢力の拡大に利用するという傾向や労働組合の組織的な動員というようなことがないように感じ、この集会の幅の広がりを感じました。
九条の会・おおさかに賛同している人が、さまざまな障害をのりこえて職場や地域、学園、階層での日本国憲法改悪反対に取り組むことを期待しています。